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一人飲みの自己弁護

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 晩酌の時には、TVのチャンネルをWOWOWに回すか、録画しておいたゲームセンターCXかアメトーーク!を観るか、iPod ClassicにCDを取り込みながら音楽を聴くか、そして同時に本や雑誌をパラパラめくりながら黙って飲む事が多い。

 最近家で酒を飲みながら読んでいるのが山口瞳の「酒呑みの自己弁護」。元々夕刊フジで「飲酒者の自己弁護」というタイトルで連載されていた読み物の書籍化で、僕のはちくま文庫版である。全113篇それぞれの話が短く、どこから読んでもいいエッセイ集なので酒を飲みながら読むのに都合がいい。そして何より山藤章二氏のイラストが味わい深い。

 山口瞳氏は「江分利満氏の優雅な生活」で直木賞、「血族」で菊池寛賞を受賞している作家だが、基本的にエッセイは説教くさい。著書には「礼儀作法入門」「続・礼儀作法入門」「人生作法入門」「行きつけの店」等があり、タイトルからしていかにも説教臭いが、池波正太郎と山口瞳、この二人の爺さん達の説教は学ぶことが多く結構好きだ。

 僕は今まで基本的な酒の席での立ち居振舞いや男としての作法は、自分のおやじ、池波正太郎氏、山口瞳氏、太田和彦氏から学んできた。たとえば店の決め方、店での飲み方としきたり、その店にあった酒の飲み方、マナー、振る舞い方といった事を上記諸先輩方から学んできてそれを今でも実践している感じである。それが今の時代に合っていないところもあるかもしれないが、周りに迷惑をかけることなく、男として紳士として粋に過ごし、正直で嘘のない生き方をするという事を学んでこれたと思う。

 だから最近酒場で、少し見苦しい方々を見てしまうと、酒場でのしきたりやマナーってこれからは誰が教えていくんだろう、と思う事がある。店の人なのか、自分らなのか、そのままにしておくのがいいのか、よくわからない。

 この山口瞳著「酒呑みの自己弁護」というタイトルの「自己弁護」という言葉が好きだ。基本的に一人で酒を飲む時って自己弁護をしながら飲む。今日の会社での自分の立ち振る舞いを振り返り、多少課題を見つけて反省するものの、最後はやっぱり「自己弁護」である。この年になると褒められるという事は滅多にないので、自分に対して「よくやってるよ」「どう考えてもそれで正解だったよ」と自己弁護するしかなく、一人飲みや家での晩酌の時の序盤には丁度いい。ただ酒が進んでくると酔いも回ってくるため、自己弁護どころではなくなってくるが、酒に自己弁護はつきものだし、このブログ名も「一人飲みの自己弁護」に変えたいくらいである。


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