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【酒】燗の美穂 / レトロ空間で燗酒を愉しむ大阪の夜

燗の美穂という屋号

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 大阪に行くと必ずここで日本酒を飲みます。燗酒がメインの日本酒居酒屋。そして店主が美穂さん。なので店名が「燗の美穂」。素晴らしい。この屋号、なかなか秀逸だと思うんですよね。どういうお店なのかが名前だけでわかりますし、菅野美穂さんからの燗の美穂というユーモアのセンスもハイレベル。そして正統派日本酒居酒屋(日本酒バー)なのがいいのです。

 場所は長堀橋と堺筋本町の間くらいと言ったらいいでしょうか。ひっそりと明かりの灯るカウンター14席のみのお店です。前日に電話で予約して訪問しました。


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 最初にお通しとして、突出し3点盛りが運ばれてきます。しばらくは酒とこの突出しでしばらくいけます。この「燗の美穂」は日本酒がおよそ50種類以上置いてありますが、基本的に飲み物は日本酒とビール(小瓶)のみ。今日は1軒めですがもちろん私はビールではなく1杯目から燗酒いきます。

スッキリとどっしり

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 私はお店の方にオススメを聞かないで自分で決める方ですが、この日は「スッキリ系とどっしり系の二種類お願い出来ますか?」と注文してみました。

 そして美穂さんがまず選んだスッキリな日本酒がこの山形県吹浦・高橋酒造の「東北泉」でした。関東でも普通に飲める酒を敢えて大阪で飲む必要もありませんが、店主の美穂さんがどのお酒を選ぶのか興味がありましたので、これはこれで美味しく頂きました。メニューには「するするはまる旨さ」と書いてありましたが、まさにその通り。50%精米で醸し出された純米酒。キレがあってぬる燗がぴったりです。

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 続いて重めのどっしり系は群馬県太田・島岡酒造の「群馬泉」。コスパのいい酒を選んでくれます。私はまだ馴染みの客ではありませんので、好みも分からない客に王道を勧めてくれるのはある意味安心です。

 山廃純米の特徴がよく表れている酒で、結構酸味があってどっしりしてますが、嫌味なく飲み進めることができますよね。お燗番の方も心得ているのか熱めに燗してくれました。

本日のおすすめ料理

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 今日のおすすめのトップに書いてあり値段も一番高いメニューは無条件で注文したくなります。それがこの河内鶏ロースたたき。食感が柔らかめで一瞬あれっ?となりましたが、脂のノリがよく酒がどんどんすすみます。


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 おそらく定番メニュー、グランドメニュー的なカテゴリーに属する手造りとうふ。とてもコクがあり、比較的甘めの味わいなので塩をふって食べます。これは旨いですね。


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 さわらかま幽庵焼き。ゆうあん焼きというのは茶人の北村祐庵が考案したとされており、酒、みりん、醤油を同割りにしたつけ地(幽庵地)につけて焼く方法。みりんが入っているので焦げやすいため、ごく弱火でじっくり焼く感じでしょうか。幽庵焼きを落ち着いた空間でゆったりとつまみながら飲む酒は、とても美味しくシアワセを感じます。


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 次の日本酒いきましょう。三重県四日市タカハシ酒造の酒、天遊琳 2003BY。メニューには知性あふれるお酒と書いてありました。これぞ燗向け。まろやかで優しい味わい。古酒っぽくないところがクイクイ進んでしまいます。

よそよそしい居心地の良さ

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 これも定番メニューのクリームチーズ酒粕づけとブルーチーズ酒粕づけ。日本酒に酒粕づけのチーズ、間違いなし。

 とても居心地のいい「燗の美穂」。美穂さんと雅美さんの姉妹で切り盛りされており、お燗番の女性がもう一方。とても素敵な店の女性陣、そして全国の銘酒、美味しい料理。ただ細長い店のつくりもあって、どうしてもお店の方たちと距離感を感じます。


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 「燗の美穂」は喫茶店の居抜きで作られており、店主・店員さんと、我々客との距離がとても遠く感じる時があります。カウンターだけのお店で店主さんとの会話が「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」だけというのはとても寂しいですよね。


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 もちろん、そういう店ではありません、という事なのかもしれませんが、だとしたら店名に違和感がありますし、なぜカウンターだけなのかも疑問に思えてきます。


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 でも大阪に来たら必ず寄ってしまう魅力がこの店にはあるんですよね。私がツンデレ好きと言われればそうなのかもしれませんが、やっぱり日本酒への愛を確実に感じますし、主役である日本酒を引き立てる美味しい料理、そして冷静沈着な女性店員、加えて細長いレトロなカウンター空間。そこがいいのでしょう。

 関東からだと年2回ぐらいしか訪問できませんが、また訪れるのがとても楽しみなのです。