宇都宮の名店「庄助」
昨年宇都宮に行ったときは、餃子屋2軒とビアバーだけにしか訪問できず、かなり物足りない思いをしたため、今回は餃子も酒も楽しむという綿密な計画を立てて再訪した。結果餃子はトータルで6軒を食べ歩き、そして居酒屋、ビアバー、オーセンティック・バー、ラーメン屋も周ることが出来たのである程度満足。でも何故か宇都宮では酒の量は少なめになる。
今回是非訪れてみたかった店が居酒屋「庄助」。県庁の近くで繁華街から外れた一本路地裏に店を構えており、さすがに餃子の食べ歩きでは寄り付かないような場所かもしれない。入口を入るとL字というかZ字のカウンターが11席、入口横に6人用のテーブルが1つ、奥の小上がりに2~4人用の卓の組み合わせで10人ぐらい、そしてその奥の座敷にも16名ぐらいは入れるようで結構広い。
末廣を燗で
この日は既に餃子屋とビアバーに寄り、開店時間の17時数分過ぎに訪問したが「ご予約は...?」と聞かれかなり焦った。やっぱり電話すべきだったか...と一瞬後悔したが、なんとかカウンターに2名座らせてもらった。
まずは会津の酒「末廣(すえひろ)」を燗で頂く。というかこの店の日本酒はこの末廣のみ。酒とお通しが運ばれ、メモ用紙とエンピツを渡される。最初の注文はこの用紙に書いて渡すのが店のシステム。
初めての店ではまずは冷奴である。旨くて早くて安くてカラダにもいい。庄助のやっこは鰹節と刻み葱とわかめ、それに醤油をかけて食べる。間違いなく旨い。
お店は二代目の主人、女将さん、そして明るいおばちゃんと若いお兄ちゃんの4名で切り盛りしており、引っ切り無しに鳴る電話、続々と来店してくる客、そして奥座敷の宴会の対応と大忙しである。ただ僕らカウンターの客からの注文や質問にも丁寧に答えてくれる気持ちの良い接客はとても居心地がいい。
料理のメニューは店内にただ1つだけある黒板に書かれている。この黒板がいろいろな場所を移動するのでおそらく1つしか無いんだと思う。
そして黒板の上、天井隅に渡した竹竿に藁に包まれた塊りがぶら下がっている。これは柚子をくりぬいて、味噌を詰め、それを日にちをかけて燻した「柚子みそ」。浦和の「料理・酒 おがわ」で食べる柚子みその本家がここにある。
もう一度黒板をじっくり眺める。細かく書かれているので正直見難いのだが、やはり庄助に来たら「柚子みそ」と「きのこ鍋」という事でその文字を探す。メニューには値段が書いてないので価格はわからない。やっと「柚子みそ」という文字を探すことが出来たが、黒板の表記は「柚子味噌」でも「ゆず味噌」でも無く「柚子みそ」。「きのこ鍋」は見つからない。
名物柚子みそ
名物のゆべし(柚子みそ)が出て来た。薄くスライスしてクリームチーズがのっている時点で間違いなく、日本酒に確実に合う事間違いなしの酒の友の登場である。ほぼ来店するお客さん全員が注文してるかの勢い。
黒板のメニューに価格が書いていないのでよくわからないが、おそらく柚子みそは350~400円ぐらいだと思う。食感はカラスミに近く、これを頼んでしまうともう肴は何もいらなくなってしまうという恐ろしい酒の肴。なので以前は黒板には書かず隠しメニューだったらしい。
そしてきのこ鍋
山菜のてんぷら。ここ庄助に訪問する前にかなり餃子を食べていたこともあり、庄助の餃子は断念したのだけど、今になって思うと食べておけばよかったと少し後悔。というか今回は注文量がかなり少ないので次回に食べたい料理がたくさんある。
そしてきのこ鍋。黒板では見つからなかったのだが、壁に「きのこ鍋1800円」との貼り紙を目ざとく見つけて注文。どうも季節的には終わりだったようで、ご主人の心意気で作ってくださったみたいだ。
主人によると、そろそろ白菜にいいものが無くなってきており、季節的にもメニューからはずしたとの事。でもやっぱり栃木のキノコと鶏の出汁が本当に素晴らしく、とても旨くて一気に満腹状態へ突入。雑炊を作って下さる雰囲気だったものの申し訳なくお断りしてしまったのが今になって激しく後悔。やっぱりこの店はお腹すかして来るのが必須条件。
末廣と柚子みそ
酒は会津の末廣しかないが、それはそれで潔く、燗で突っ走れるのがいい。この日もずっと末廣の燗、燗、燗。
こんな素敵な袋に入れてもらい、出来たばかりらしいカラーの庄助名刺も付けてもらい、しばらくはこの柚子みそで晩酌が愉しめそう。