『海のはじまり』第1話

まず何といっても池松壮亮の連ドラ出演が嬉しい。「季節のない街」が地上波で放送されていたものの、連ドラ出演が少ない俳優のキャスティングにはどうしても期待が高まる。

ただ水季(古川琴音)の職場の同僚津野という設定で、水季の子育てをサポートしていたようなのだけど、その演技の凄みと存在感たるや。

とは言え、水季母(大竹しのぶ)から「お母さんって呼ばないで」とか言われちゃってるし、まさか1話で退場もあり得るのか、と思ってしまったが。

でもおそらく池松壮亮自身が本を読んで「出る!」と決めたのだろうから、琴線に響いた役柄なんだと思う。

一方で目黒蓮も有村架純も年一ぐらいしか連ドラ出演がないので、否が応でも期待感は高まる。夏くんの穏やかなのに、静かなる激情がほとばしる振る舞いや、弥生の見せる情感の深さに吸い寄せられる。

ストーリーとしてはゆったりとした時間の流れ中で生と死を丁寧に描いていき、この第1話でほぼ登場人物たちの関係性、そして気持ちの揺れ具合が理解できる展開。

生方美久氏が脚本を書いているため「海のはじまりとおわり」「ただ想像はしてください」「何も考えないで休んだ方がいいよ」「泣いた?・・・あとから」みたいな、彼女ならではの台詞と間は好きじゃないけど嫌いでもない。

加えて、別れ話の電話で水季を映さず夏くんのみの長めのショットで表現したり、夏くんの家まで辿り着けるように水季と海ちゃんが前もって行く練習していた、というくだりはやっぱりsilentチームだよなー、でもあざといよなー。

あと「ママ終わっちゃったの?夏くんのパパいつからはじまるの」みたいな渾身の生方節台詞まわしは正直苦手で、それが行き過ぎると胃もたれを起こす。

キレのあるコトバと、こってりしたパワーワード込みの台詞が混在しているのが脚本家生方未久なのであって、それはそれで仕方ないのだけど、すき花の牛丼に牛丼を被せてくるような台詞や展開だけは無いことを祈ってます。

次回はやっぱり弥生、津野、水季母ですね。