ドラマ『笑うマトリョーシカ』 #1

とにかく新聞記者役の水川あさみがいい。

もちろん政治家の櫻井翔や秘書役玉山鉄二も、原作のイメージ通りなのは間違いないのだけど、元社会部記者としての嗅覚と執念で突き進む道上香苗役を演じる 水川あさみは初回からなかなかの凄みがある。

ただここまで異様な探究心を見せつけられると、こちらとしてはかなり引き気味になってしまうのだけど、なぜか水川あさみにそれら負の要素は感じない。

若干鈴木俊哉役の玉鉄に詰め寄るシーンの大胆さに厚かましさが乗っかって、現実味が薄れる展開に不安がよぎったが、鈴木の冷静な言い回しと鉄壁ガードの対決構図は見応えに溢れてた。

水川あさみは声がいいんだと思う。

あの声で詰め寄られると、なかなか相手は誤魔化そうにも誤魔化しきれない峻厳な鋭さがあり、そこに才気煥発な記者でありながらも、なぜ今文化部なのか、何かあったのか、とこちらも感じ入ることができる。

しかしこのドラマ、第一話からもの凄く多くの情報量を投げかけてくる。登場人物たちの人間関係、特に政治家清家、秘書鈴木、記者道上自身の家族関係、そして道上父の事件、BG事件、加えて自叙伝、卒業論文、松山における高校生時代の関係性、元恋人、謎の女と、これでもかとコアな情報を突きつけてくる。

原作は第一部から福音学園における高校生時代の話が続いていくため、かなり冷静な気持ちで淡々と読み進めることができる。でもドラマは一気に登場人物たちの人間性、関係性、独自性、精神性、事件性を視聴者に提示してくる。

まぁそれが映像化でありドラマ化なんだろうな、と改めて思う。そして予告では清家の元恋人役で田辺桃子が出演とか期待高まりすぎる事案発生。