写真がないレシピ本が好きです。
僕は写真を撮ることが趣味なので、居酒屋での肴を美味しそうに撮れれば、それはそれで満足して、心のなかではドヤ顔になります。でも人って実に勝手なものでして・・・
たとえば料理の本に掲載されているプロカメラマンが撮影した(派手な)写真・・・・著者の方が撮られた写真であれば思い入れ強く、グッとくるのですが・・・。
そして、徹底的に細かい計量・・・。
これはフランスの日本語新聞『オヴニー』の連載をまとめたクッキングノート。この本には写真が1枚もありません。 料理の由来、作り方、そして大切なポイントを、あたたか味のある文章と、味のあるイラストで紹介されてます。なのでイメージがどんどん膨らんで、想像力が掻き立てられるので、イメージしている事自体がとっても楽しいんですよね。
掲載されているクッキングノートは、具材や調味料の数はとっても少ないし、料理の工程自体もシンプルなんですよね。ただ計量自体は細かくは載っていません。その場のノリが重要です(笑)
だからこそ食べてみたい!作りたい!という気にさせるのかもしれません。フランス料理って言っちゃうと身構えちゃうけど、パリっ子の家庭料理って、実は素材を活かしたシンプルで普通なんだなぁ~と実感します。
見開き2ページで1レシピですが、欄外のコラムも見逃せません。というかここもある意味メイン。少しバリエーションを付けた調理方法や、お酒の紹介、鍋や道具の紹介まで、軽快なエッセイ風で読ませます。そして料理の想像が一層膨らんでいくのです。
プロが撮影した出来上がりの写真や、丁寧な工程、そして計量が絶対に必要であればこの本はお薦めしません。でも 写真がないレシピ本、僕は大好きです。
何度でもページを開きたくなるのが、僕にとっての料理本です。 今この本自体は版元品切れだったんですが、最近ついに新装新版が復刊されました。立ち読みでまずはチェックしてみてください。